Four Seasons 四季
「Four Seasons 四季 2022」の再演
日本大学第二中学校学芸行事(芸術鑑賞会)での上演

日程:2025年10月21日(火)13:30開演
会場:サンパール荒川 大ホール
作・演出:関根信一
出演:石関 準、井手麻渡、岸本啓孝、関根信一、中嶌 聡
照明:伊藤 馨 音響:樋口亜弓 舞台監督:申大樹(深海洋燈)
<プログラムより>
【登場人物と配役】
平谷 賢(51歳 高校教師):中嶌 聡
相庭弘毅(52歳 「メゾン・ラ・セゾン」の大家):関根信一
清水太一(50歳 デパート勤務):石関 準
田口茂雄(52歳 不動産会社勤務):岸本啓孝
二階堂渉(41歳 小児科医 相場弘毅の甥):井手麻渡
平谷 剛(55歳 平谷賢の兄):中嶌 聡(二役)
溝口裕也(23歳 清水太一の同僚):井手麻渡(二役)
相庭弘毅が経営するアパート「メゾン・ラ・セゾン」と彼が住んでいる家の間にある庭が主な舞台。
上手側(舞台に向かって右側)が「メゾン・ラ・セゾン」、下手側(舞台に向かって左側)は介護付きケアコミュニティ「ひまわり」。「ひまわり」が建っているのは相場弘毅の実家だった場所。
「ひまわり」とこの庭の間には通り抜けのできない塀がある。正面に大きな木が一本。客席の中央あたりにある気持ち。
第一場 春の庭 2025年4月の午後
第二場 前場の続き 平谷賢の部屋
第三場 夏の庭
第四場 秋の庭
第五場 冬の庭
第六場 翌年の春の庭 エピローグ
【ごあいさつ】
はじめまして劇団フライングステージの関根信一です。
フライングステージは、ゲイの劇団です。
ゲイというのは、男性同性愛者のこと、LGBTQのGにあたります。
劇団員やキャスト、スタッフの全員がゲイというわけではなく(僕はゲイなのですが)劇団のあり方として「ゲイの劇団」と名乗っています。
劇場は「知らないものに出会う場所」だと僕は思っています。
僕が演劇と出会ったのは「ゲイ」という言葉に出会うのと同時でした。
1979年の秋、中学3年の僕は、劇団四季の「コーラスライン」というミュージカルを学校の帰りに制服を着たまま見に行きました。
「コーラスライン」というミュージカルは、あるミュージカルのオーディション風景をそのまま描いたもので、多くのダンサーが登場するのですが、その中の一人が「僕はゲイです」という話をします。それが、僕にとって初めての、自分はゲイだと話す人、そして演劇との出会いでした。
それから僕は演劇を始めて、今は一人の演劇人として、一人のゲイ男性として、演劇を続けています。あの日の劇場での出会いがなかったら今の僕はいなかったなと思っています。
今日のこの舞台がみなさんにとっての何かになればうれしいです。たとえば、これから先の遠い未来、何かのきっかけで、あ、あんな演劇を見たなと思い出してくれることがあったらと思います。
今回、ご覧いただく「Four Seasons 四季」は、世田谷区あたりにあるゲイばかりが住むアパート、その庭が舞台です。
この物語の初演は2003年。2004年に続編を上演。その後、再演を繰り返しながら、登場人物たちも年齢を重ねて、今は2025年。20年以上経って、すっかりおじさんになった彼らの物語です。(2003年と2004年の舞台で何が起こっていたかは、今回の物語のなかで少し語っています。)
ゲイばかりが住むアパート「メゾン・ラ・セゾン」の住人の一人が急に亡くなったところからこの物語は始まります。彼はなぜ死んだのか?という謎解き推理ではなく、友達をなくした人たちがどうするのか、彼のために何をするのかというお話です。
舞台の正面、今みなさんが座っている客席には、大きな木が1本立っている設定です。この木はこの庭で起こるさまざまなことをずっと見て来ました。
みなさんにも、その木と同じように登場人物たちを見守ってもらえたらと思います。
笑ってもらっても、ほっこりしてもらっても、だいじょうぶです。
みなさんに僕たちの演劇を見てもらえることが、僕たちはとてもうれしいです。
それでは、どうぞ最後までごゆっくりご覧ください。
*「同性パートナーシップ」について
劇中に登場する「同性パートナーシップ」という制度は、2015年に世田谷区で始まりました。その後、2022年には東京都も「東京都パートナーシップ宣誓」という制度を始めて、2025年現在、全域で制度のある自治体は47全都道府県のうち33です。
この制度は同性カップルが「婚姻に相当する関係」として公的に証明できるもので、公営住宅の入居申し込みなど、一部の行政サービスを家族と同様に受けられることを目的としています。
*劇団フライングステージ
カミングアウトしているゲイの劇団。1992年の旗揚げ以来、現代日本のゲイの姿をリアルに描く演劇作品を作り続けている。
主な作品に、明治の文豪、夏目漱石の『こころ』を明治の男たちの恋と友情の物語として読み直した『新・こころ』、HIV内定取消訴訟を題材にした『Rights, Light ライツライト』、小学校を舞台に学習発表会でアンデルセンの人魚姫を演じたい男の子を主人公にした『アイタクテとナリタクテ』、高校を舞台に、カミングアウトしたいゲイの教育実習生と教師たちの物語『お茶と同情』、オムニバスの二部作『こころ、心、ココロ 日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語』など。
年末の主催イベント「gaku-GAY-kai」では、シェイクスピアやチェーホフの翻案、『贋作・テンペスト』『贋作・十二夜』『贋作・冬物語』『贋作・桜の園』などを上演。
代表の関根信一は、青少年向け作品の作演出を多く手がける。2025年現在、LGBTQの小学生を主人公とした『わたしとわたし、ぼくとぼく』(劇団うりんこ)が全国を巡演中。







撮影:日本大学第二中学校